『兄貴~。入っていい?』


洗い物を片付け、部屋にいると、空が来た。俺はベッドの上で明日の準備をしていた。


「どうした?」


『シャーペンの芯分けてくんない?切らしての忘れてた。』


「あぁ、いいよ。」


そう言うと空は部屋に入って来た。手には空(から)の芯ケースがあった。俺はカバンの中から筆箱を出して芯ケースを出した、俺のもそろそろだな。


「三本あればいいか?」


『うん。あ、明日体育だっけ?』


俺の横にある体操服を見つけた。


「あぁ、一時間目からいきなりだ。」


芯を渡すと何か物足りなそうな顔をして、部屋を出ようとした。


『……!わっ!』


ベッドの影に隠れていたスポーツバックに足を引っかけ、正面から俺のところに倒れてきた。


「おっと。」


抱きしめるように胸で空を受け止める。久々に空の体に触ったが、俺と違ってずいぶん柔らかいんだな。


『…………』


俺にくっついた空は呆然とした。


「大丈夫か?空。」


俺の言葉にハッとし、急いで俺から離れた。


『ご、ごめん。芯ありがと。…じゃ。』


焦って俺の部屋を出て行った。なんだったんだあいつは?