『兄貴なら職員室だよ?』


「珍しいな、あいつなんかやらかしたのか?それともあるわけの無い質問か?」


『ううん。来年の入学生に渡す資料の卒業生からの言葉、ってやつを書くんだってさ。』


「って、あれは普通、生徒会長とか全国大会とかに行った部活の主将とかそういうやつが書くんじゃ…?」


ずっと空と擬似的二人暮らしな海は、家事がおろそかにならないよう、部活や生徒会に属そうとはしなかった。

まぁ、最後まで勧誘は尽きなかったけど…





「俺がどうしたって?」


『うおぅ!兄貴!?びっくりしたぁ~!』


海が窓から突然現れ、空のリアクションに満足していた。


「おかえり。卒論みたいなの書くんだって?」


「あぁ、原稿用紙5枚だとさ。お?大地高校どこにすんの?」


「柚華か光林で迷ってる…」


「なんだ?なら柚華にしなよ。俺たちも柚華にしよっか、空?」


「は?何言ってんだ?お前らは十分帝鳳狙えんだろ?」


「え~?だって…」


この後海が言った一言は、学校で伝説になったほどの言葉だった。