「で、誰が好きなの?空ちゃん。まさかそのかわいさでいないとか無いよね~?」


どうしようか…、いないって言えばウソって言われるし、兄貴って言ってもウソって言われるし、選択肢が無い……


『だ、大地かな~?彼女いるけど、兄貴に一番近いのは大地ぐらいだし…』


とりあえずこう言っておいて後で大地に説明しよう。


「へぇ~、やっぱり近くにいると自然と好きになっちゃうんだね~。哀原くんかっこいいもんね?ね、優ちゃんは?」


なんとか私からマークが外れた。優ちゃんは枕に顔をうずめた。


「私も…海くんかな…。でも、この前告白したら…フラれちゃった。2回も…」


え!?ウソ、いつ?優ちゃんが、兄貴に?
突然の告白に内心焦っていた。


私は優ちゃんに出会ってからはほぼずっと兄貴のそばにいる。てことは電話かなんか?


「へぇ~、海くんに告ったんだ~!優ちゃん度胸あるね?」


私の心配をよそに、あんずちゃんは話を進める。
この時は部屋が暗くて分からなかったが、優ちゃんは私に勝ち誇った目線を向けていた。


「フラれちゃったら度胸もどうもないんだけどね。でもフラれてもやっぱり海くんが好き。たとえ私が海くんの好きな人じゃなくても…」


もしかして、兄貴の好きな人って…優ちゃん!?……そうだよね、いくらキスしたのが私だけでも、兄貴は私を恋愛の枠に入れようとしない。
私の勝手な勘違いだったのかな…


この時初めて、たくさんあった私たち双子の糸が、


一つずつ切れていった。