『兄貴のどこが好き?妹目線だとよく分かんなくてさ。』


兄妹とはそういうものらしい。ちなみに私は兄貴の顔も性格も好き。


「…か、海くんって、優しいし、かっこいいし、背も高いし、頭もすごいいいから…。でも私なんかじゃダメだよね…。みんな海くんがいいって言ってるから…。」


まぁ確かに…、兄貴よりかっこいい人はそうはいない。中学でも私経由で兄貴と知り合おうとする人はたくさんいた。


「それにやっぱり空ちゃんよりかわいくないと海くんのそばにはいられないから…」


これもよく言われる。別に兄貴が選んだ人なら、私をどうこう言う必要は無いと思うんだけどね~?


『あの、さ。それならまず雪田くんから仲良くなったら?』


「え?雪田くん?」


こうなったら仕方無い。後付けだけど兄貴に相談しとけば大丈夫でしょ。


『実はね、兄貴が今一番仲良いのって雪田くんなんだ。大地も仲良いけど最近は緑ちゃんにご執心だからさ。だから、ね?将を射んと欲すればまず馬を射よってね。』


雪田くんと兄貴がどれだけ仲良いかは知らないが、その辺りの設定は後々どうとでも変える。


「そうなんだ…」


『そ、だから雪田くんから仲良くなって、兄貴にいいイメージが回るようにするんだよ。今雪田くん同じ班でしょ?チャンスじゃん。』


「う、うん……」


返事は曖昧だったけど表情は真剣だった。
よし、とりあえずなんとか軌道修正はできた。あとは雪田くんと兄貴に説明しないと。