「ねぇ、海くんよかったら夜うちの別荘に来ない?どうせあそこにいても寝るだけでしょ?」


『そんなことないよ。兄貴は夜私たちの部屋に来てくれるんだもん。ね?』


すがるような目で見られると、拒否はできない。


「あ、あぁ。そういうわけだ。小海ちゃん、もうすぐ時間になる。他の連中が帰ってくる前に、さっさと帰んないと。」


「ちぇ~。いいよ、じゃあまた隙を突いて来るね。ばいば~い。」


茂みの中に消えて遠退いて行った。堂々と隙を突くとか言われたら気ぃ抜けねぇわ。


「やれやれ、まさかここまで来るとは思わなかった。最初に会った時といい、無茶苦茶なやつだな。」


『兄貴、その、本当に部屋に来てくれる?』


小海を帰らせるための方便だと思っていたが、どうやら本気だったらしい。


「そりゃあ行けるなら行ってもいいけど、男女間の部屋のガードは堅いぞ?」


まぁ、その気になれば行く手段はいくらでもあるがな。


『私は…来てほしいな…兄貴に…』


「……分かった。できる限りの時間は、空のところにいるから…」


『…うん!』