先に川辺に到着した空たちは、俺たちが来るのを待っていた。


「遅いな~海のやつ。」


『やっぱあの時私が反対しとけば、こんなことにならなかったのにな……』


しょんぼりしながら川を眺める。大地は石を投げて川を跳ねらせる、意外と上手い。


「空が気にすることじゃないよ。海以外全員に責任がある。あいつはいつも正しい、海の意見には逆らうところはなかったんだ。」


『うん……、あのさぁ。大地は…兄貴は誰が好きなんだと思う?』


「朝言ってたあれか?双子ならなんとなく分かるもんじゃないのか?」


多分自分とはどことなく感じていても、実際に俺の口から聞いたわけではないので不安らしい。


『一応候補はいくつかあるんだけど、ほら兄貴って誰にでも優しいから分からなくて……』


「ふ~ん…、俺の予想としては、水江さん、森さん、あたりじゃないか?もしくは小海ちゃん?そういやあいつメールしてんのかな?」


やはりそうだが、優以外誰も俺は空が好きだという考えはしない。当たり前といえば当たり前だが……


『もしさ、もしかしたらだけど、私ってことはないよね?』


悟られないよう冗談っぽく言った。


「それは一番無いだろうよ?好きな人は、って聞かれて妹、って答えるやつはいないぞ?あいつはアキバ系じゃないし、大体そういう考えは嫌いなタイプだろ?」


冷静で当たり前の意見に空は少し落ち込んだが、なんとか顔に出さなかった。


『そ、そうだよね?分かってるよ。ただの可能性の話だから…』


兄貴は確かに私を好きと言ってキスまでしているが、それは単なる兄妹としての枠を少し越えただけで、恋愛感情ではないのか……。
俺がいない間に空は一歩、離れていた。