父さんと母さんが出かけ、部屋に戻ると空がすでに俺のベットに座っていた。何も言わず俺は隣に座る。肩が触れ合うぐらいの距離だ。


「結局青はどうした?何もされなかったか?」


『うん、家に連れて行かれたけど、家に返してってずっと言って、そしたらすぐに返してくれた。』


今さらだが、空が連れて行かれて帰って来るまで、実際は2時間もかかってない。俺はすごく長く感じていたから分からなかった。


「優ちゃんは?お前が帰って来た時、いただろ?」


告白されたのに冷たく断ったので、少し心配だった。


『すぐに帰ったよ。兄貴に気にしないでって伝えてって言われたんだけど、何かあったの?』


「いや、大したことじゃない。美術で俺の作品を少し破っちゃったんだ。」


適当に嘘をついた。見破られていたかもしれないが、告白されたって聞いたら、余計な心配をする。


すると空の体が傾き、俺にもたれかかった。軽く目を閉じる。


『私ね、本当は美術の時間、兄貴に描いて欲しかったんだ。』


「え…?」


顔を上げて俺と目が合う。ドキッとしてしまった。