『俺と美優…あなたはすごく仲がよかった』
とても、恋人同士だったなんて言えなかった。
もし、俺がそう言えば美優は混乱するだけかもしれない。
そう思ったからだ。
美優はすべての記憶をなくした。
だったら、俺のことは思い出さずこれから新しい人と出会って幸せになってほしい。
それが俺の願い。
「そうですか。
私は涼さんやあなたのような優しい方に囲まれてさぞかし幸せだったんでしょうね。
そのことが分かっただけで十分です」
まだ、いろいろ話したいことがあった。
でも、何を言えばいいのか
美優になんて声をかければいいのか分からなくて。
病室は沈黙に包まれた。
『優作?ちょっといいか?』
そこへ現れた涼。
涼は俺を手招きする。
そして俺は病室の外に出た。
その代わりに奈々が美優の病室に入って行く。
『奈々ちゃんが美優と2人で話したい、そう言ったんだ』
涼はそう言って俺の肩を叩く。
いったい奈々は美優と何を話す気なんだ…??