『……………みゆう』
病室に入るとなぜか涼の姿があって。
お前がグルだったのか。
そう冷静に考えてる自分が怖い。
「…どなたですか?」
あの頃と変わってない声色。
美優…今、お前の目に俺は映ってないだろう。
けど、俺の目にお前が映ってる。
こんなこと、もう2度とないと思っていたのに。
嬉しい反面、
奈々に申し訳ないキモチでいっぱいになった。
『美優…同級生の藤堂優作だよ。
覚えてないか…??』
涼が美優の肩に触れ、そっと呟く。
美優は手を頭にやり、考え込むが最後は頭を横に振った。
そうか。
やっぱり…覚えてないか。
俺とのことは、記憶の中でも1番忘れたいことだろうしな。
『美優。ちょっと出てくるな。』
涼はそう言って奈々と病室を出て行ってしまった。
止める隙もなく、美優と2人きり。
ドキドキと相変わらず心臓はうるさかったが、俺は言葉を発した。
『久しぶり…だな、美優』