「梓~。携帯なってる。」
「あっ、ほんとだ。智亜樹サンキュー...」
急に梓が黙り込んだ。
「どうしたの梓?出ないの?」
「うっうん。非通知みたい。」
「マジ~?俺に出させて~。」
海斗が携帯の画面を見た。
その瞬間、携帯が手からするりと落ちた。
「お前...まだあいつと...」
だっ!
「梓っ、待って!」
梓はその場所から走り出した。
それに続いて、海斗も走り出す。
私も追いかけようとしたけれど智亜樹に止められた。
「もう少ししてから、2人をさがそう。」
「うん...。」


少ししてから私と智亜樹は2人をさがしはじめた。
階段の方にいってみると、2人の声が聞こえてきた。
「まだ、別れてなかったんだな。」
「分かってたでしょ?」
「......。」
「間違ってる事だって分かってる...。でも...やっぱり、あきらめきれないの...。」
海斗は、泣いている梓の肩を抱いた。
海斗まで、苦しそうに泣いている。
頭の中がましっろになった私。
でも、ぼんやりと分かった事...。
それは、私の知らない間...3人には長い時間があるという事。
そして、海斗には胸の奥にしまいこんでいる想いがあるという事。


君の心の中には...はじめから別の人がいました。