黒塗りの高級車に押し込まれて


私は身の危険を知らせる耳鳴りにも似た警戒音を頭に響かせる



「緊張する?
もっとリラックスしてよ。初めてのデートなんだからさ?」


そう言って私の太ももに手を置く

「触らないで。」

矢倉くんを睨み付けて私は手をはね除けた


その手を擦りながら
それでも矢倉くんは楽しそうに笑う


「そんな顔もそそられるよ?鈴ちゃん。」



ゾクゾク


背筋に走る嫌悪感

全身に鳥肌が立つ


やがて
私たちを乗せた車は大きなビルの前に止まった