………でも!

昼休みの話が違ったということは分かったとしても、もう一つある。


あれは誤魔化しようがない。

俺が見たんだし。




「姫!」


「なっ、何?」




俺が急に大きな声を出して姫はビックリしたみたい。


でも、今はそんなこと気にしてられない。




「今日男と会ってただろ」


「…お兄ちゃんでしょ?」


「違う!俺の知らないヤツ。会社の近くの喫茶店で楽しそうに話してたの、見たんだからな!」




嘘ついてもムダなんだ!


絶対に聞き出してやる。

だって、姫は俺のだから!

誰にも渡さない!


意気込んでる俺に、姫は戸惑いながらも、静かに言った。




「もしかして…百合子(ユリコ)のこと?」