そんな充実した生活をしていた俺に変化が起きたのは昼休みの終わりだった。




「桜庭君、ちょっと…」




俺は、事務の平塚(ヒラツカ)さんに呼ばれた。




「何ですか?」


「あのね、このことは言わない方が良かったのかもしれないけど…」



平塚さんは神妙な面持ちで静かに言う。




「駅前の喫茶店に今行って来たんだけど…桜庭君の奥さん見たの」




駅前の喫茶店って…ONEだっけ?

そういえば「今日は友だちと出かけてくる」って言ってたけど…




「それがどうかしましたか?」


「男の人と一緒だったの…」