「さっきはごめんな」




奏斗が言った。


その声で、あたしの脳は現実に戻される。




「俺、ただ姫のためにって思って頑張ってた。将来のこと考えて、いや、将来のことばかり考えすぎて、目の前のモノ見てなかったんだ」




将来のこと、あたしも考えてたよ。


だけど、あたしは"今"奏斗と幸せでいたいの。

それでよかった。




「大変だった。だけど、そーゆーの見せたくなくて…姫に怒鳴ったりして最低だよな、俺。格好悪かったよ」




そこまで言って、奏斗は悲しい顔をした。



そんな顔しないで…

あたしまで悲しくなるよ。