その日の夜は
妄想劇場は上映せず
どうやって話を切り出そう
どうやって誘おうって
いろいろなパターンを
考えながら
眠りについた・・・

朝になる

『さあ! 出陣だ!』

覚悟を決めて
駅へと向かう!


「有香ちゃん。おはよう!」

「あ!おはようございます!」

やっぱりかわいい・・・

告って
ダメってなって
彼女と話せなくなるのは
やっぱりいやだ・・・

「今日もいい天気だね。」

「はい! 気持ちいいですね!
 暑くもなく寒くもなく。」

「だね!
 今が一番いい季節だよね?!」

「はい!」

電車がホームに入ってくる
乗り込む二人

彼女と隣合わせで立ち
少し黙って

よし!!!

と切り出した

「あ~あ。
 こんないい天気の日は
 学校なんかより
 バイクでどっか行きたいなぁ~」

我ながら白々しい・・・

「え? バイクの免許
 持ってるんですか?」

いける!!!
そう思った!!!

「うん。春休みに取ったんだ。
 んで最近中古で買ったんだ。」

「おっきい奴ですか?」

「おっきい?
 排気量?の事かな?」

「え~と、よく分からないんですけど
 原付じゃなくて、高速道路乗れる
 やつですか?」

「うん。乗れるよ。
 250だから。」

・・・なんか
いい感じじゃん?
俺ってば!