「え~!?」

そう言って
首を傾げる彼女

ハッと我にかえる

「い・いや!
 あの~
 なんて言うか

 ははは。なんとなく!」

「大丈夫ですか?
 風邪ひいたりとか
 したらダメですよ?!

 それから傘。
 今日お家でお日様に
 あててますから
 明日にはお返ししますね!」

俺を気遣ってくれる
優しい言葉と
俺の大好きな口調

もう
またまた
彼女の顔が見れない

嬉しくって
恥ずかしくって
幸せすぎて

「うん。でも
 いつでもいいよ!
 気にしないでね!」

「はい!
 ありがとうございます!

 でも明日にはちゃんと
 お返しします!

 ちゃんとしとかないと
 また今度借りられなく
 なっちゃうし!」

悪戯っぽく彼女が言った

その顔があまりにも
かわいすぎて
ついついムキになって
言う俺

「そんな事ないよ!
 いつでも貸すよ!
 
 俺なんか濡れても
 いいんだよ!

 有香ちゃんさえ濡れなければ!」

「・・・え~と。
 はい!
 ありがとうございます!
 また貸して下さいね!

 て言うか、
 忘れるなって言うんですよね?!」

「・・・いや。
 忘れてくれた方がいい。」

小声で言った

ちょうど電車と電車が
すれ違う時で
俺のその小さな
言葉は
彼女には
聞こえなかったみたいだ