「ほんとに?
 ほんとに分かってる?

 分かってくれてる?

 伝わってる?」

「うん。

 うん。」

「・・・・・。」

「・・・・・。」

「・・・有香・・・。

 全部ほしい・・・。

 全部見たい・・・。

 俺だけの有香だって
 実感したい・・・。」

「大丈夫だよ?

 全部そうだよ・・・。」

そう言いながら
優しく俺の頭を
撫でてくれる彼女

彼女を引き離し

「違う!
 
 有香の全部が見たいの!
 有香の全部がほしいの!」

「・・・。

 ・・・。

 ・・・・・。

 こわいよ・・・。

 初めてだし・・・。」

「俺も初めてだよ・・・。

 でも、もういやだ!

 ・・・もういやだ・・・。」




しばらく沈黙が続いた

よく見とかなければ
見逃してしまうくらいに

小さく
小さくうなずく彼女