どこに行くって
決めてなく

ただただ
のんびり
走らせる。

ミラー越しに
彼女と目が合う。

合図すると
合図仕返してくれる。

寒くなく
暑くもなく

ちょうどいい気温。

マフラーからの音と
風切り音。

信号待ちで

「大丈夫?」

「うん!」

そしてまた

マフラーからの音と
風切り音。

たまに
俺の腰に手をまわしている
彼女の手を
ギュッと握る。

ミラーの中で
微笑む彼女。

会話がなくても
至福の時間。

見つめ合えないけど
至福の時間。

彼女の温度を
背中に感じながら

ただただ
のんびり
走らせる。