玄関に入ると
家中
彼女の香りがした。

ちなみに彼女は
香水やらコロンやらは
まったくつけてない。

彼女自身の香りだ!
この香りは
例えば
満員電車の車両の中で
彼女の姿が見えなくても
彼女がいる!!
って確信できるくらい
嗅ぎ分ける事が
俺には出来ると自負している。



「どうぞ!」

と彼女がスリッパを出してくれる。

「あ。いや、こらどうも!」

と、緊張で初老のような返事。

「ぷっ。フフフ」

彼女が笑う。

「へ? は・・・はは!」

俺も笑う。

お互いの緊張が解け
いつもの二人にもどる。

「しかし、綺麗な部屋だね~」

通されたリビングを見て
彼女の上品さが納得できた。

「そう?」

「うん!うちなんてゴミ溜めだよ?!
 こんな家があるなんて
 信じられない!」

「おとうさんもおかあさんも
 うるさいんだ。

 二人とも几帳面でさ。」

「ふ~ん。でも、誰がいつ来ても
 平気だね!
  
 うちなんて誰か来るって言った日にゃ
 突貫工事だよ?!」

「とっかん?・・・??」

そう。
彼女はこういう言葉に弱い。
そこがまたかわいい!

突貫の説明をしたり
いろいろな雑学を
ひけびらかして・・・

気がつけば8時ちょい過ぎ・・・



勇気を出して言ってみる。