「夏休み終わった頃って
 言ってたっけな?

 あいつも久しぶりに
 有香ちゃんを電車で
 見かけたんだって。

 あいつも中学ん時、
 有香ちゃんの事お気にだったから、
 いっそう可愛くなってる彼女見て
 火が付いたんだと!」

「・・・ふ~ん。」

「んで、アタックしたんだけどさ、
 最初は見向きもしてくれなかった
 んだって。」

「・・・ふ~ん。」

「なんか好きな人がいるって言われて?
 でも諦め切れずに何度も何度も
 アタックしたんだって。」

「・・・・・。」

「そしたらある日、いつもは
 ほとんど無視されるのに
 その日に限って向こうから
 話かけてきたんだと!」

「・・・・・。」

「男の人ってみんなに
 かわいいって言うのか?
 って。」

「!!!!!」

「なんか聞いたら?
 有香ちゃんの好きだった奴が
 他の女にかわいいかわいいって
 言ってるのん、聞いたらしいんだよ。

 そしたら山下、今だって思って、
 俺なら君にしか言わない!だってさ(笑)

 なんかそっから、いい感じになって
 今じゃ有香ちゃんの方がラブラブだって
 鼻の下伸ばしながら言ってるよ(笑)。」

「・・・・・・・・・・。」

「ま、どっちみちおまえには
 縁がなかったってことだよな!?

 好きな奴もいて、おまけに
 今は山下の彼女だしな!」

「・・・・・・・・・・。」

何も言わず
ただただうつむいてる俺に

タラコが察知したのか
こう言ってきた

「まさか、おまえじゃないだろ?
 有香ちゃんが好きだった奴って?

 おまえ、女にかわいいとか言える
 奴じゃないもんな?」

「・・・・・・・・・・。」

「・・・え? おまえなの?」