「アクセルもクラッチも
 知らないでさ。

 クラッチ握って
 これ後ろブレーキ?ってさ。

 かわいい顔で首傾げて
 俺に聞くんだよ。

 そっちはクラッチって言ったら
 頭の上にハテナマークいっぱい
 出して、また首傾げるんだよ。」

「・・・・・。」

「じゃあ、後ろブレーキは?
 って聞くから、
 リアブレーキは・・・こ・・こって
 ・・・。」

涙で声が詰まって
言葉にならなかった・・・

そんな泣いてる
俺の姿を
伝教師は見ないでいてくれた

お互い黙ったまま

俺はずっとうつむきながら
声を殺しておもいっきり
泣いていた・・・

中学で初めて見て
その瞬間に大好きになって
4年以上もずっとずっと
大好きで
もう彼女しか見えてなくて

どこに行っても
いるはずもない彼女の姿
探してたり

人込みの中で
彼女の香りがしたような気がして
周りキョロキョロしたり

もしそうだとして

もし彼女が俺と同級生の
話を聞いてたとして

もしそうなら

なんでその時彼女の香りに
気が付かなかったんだろうって

ちょっと女の子に免疫ができたからって
調子に乗って

彼女以外
かわいいなんて思った事ないのに
他の女の子にかわいいなんて
言ってしまったんだろうとか

もしもそれが原因で
彼女が俺を避けたんなら

彼女もちょっとは俺の事
好きでいてくれてたのかなって

そう思うと
余計に自分に腹が立ってきて

情けなくって悔しくって

自分のバイクを蹴飛ばしていた