ゆっくりゆっくり
手を離し・・・

置いてあった鞄を持ち

声に出さずに

「バイバイ」

って言う。

彼女も

声に出さずに

うなずきながら

「バイバイ」

って言うと
家に帰って行く。

彼女が自転車を止め
家に入って行くのを
確認してから

俺は自転車を漕ぎ出す。

彼女がいないのに
至福の時間。

ゆっくりゆっくり

彼女との時間の
余韻をたのしみながら

ゆっくりゆっくり

自転車を漕ぐ。


人から見ると
危ない高校生だろう・・・。

ニヤニヤと

ゆっくりゆっくり

自転車を漕いでいる

目線なんて定まってなく
うつろで

いないはずの
彼女しか
見えてない・・・。

ゆっくりゆっくり

家路を行く。

ゆっくりゆっくり。