「じゃ~ん!」

無邪気にそう言いながら
自分のポケットから
なにやら鍵の束らしき物を
取り出し
俺に見せる彼女

それにはさっきくれたキーホルダーが
付いていた

「ふふ。先輩。おそろね!
 色違いだけど。」

「ほんとだ!おそろだね!
 いいね~。なんか。」

なんかもう
冷静さを保つのが必死っす!!

それから駅に着くまで
いつものように
いろいろと話をしていたんだけど
あることに気が付いた!

彼女がやたらと俺に触ってくる!!

ポンッと叩いたり
制服のボタンとか校章とか・・・

なんかスキンシップが増えてる!!

でもちょっと心の中でお願いしてみる・・・

『お願いだから、あんまりそんな事しないで。
 勘違いしちゃうよ・・・。
 ダメってなった時にダメージが
 増えるからさぁ・・・。』

駅に近づき
ドア付近まで行こうとすると
彼女も着いてきた

「??? どうしたの?」

「ん?お見送り!いいでしょ?」

瞳をクリクリさせながら言う彼女

嬉しすぎて死にそう!!

「あ・・うん!ありがとう!
 じゃあ、またね!」

ドアが開き、降りる俺

「バイバイ先輩!
 今日も頑張ってね!」

「うん。ありがと!
 有香ちゃんもね!」

そう言い合いながら
ドアが閉まり電車が動き出す

『バイバイ』

と聞こえないけど
そう言いながら
小さく手を振る彼女

俺も

『バイバイ』

と声には出さずに
彼女に小さく手を振り返し
お互いが見えなくなるまで
手を振り合った