公園の隅にバイクを止め
エンジンを切る

少し間を置いて
彼女がタンデムシートから
降りた・・・

『あぁ。今日という日が
 終わってしまった・・・』

切ない気分がこみ上げてくる


「先輩!お疲れ様!
 大丈夫だった?
 ノンストップだったけど?」

ヘルメットを脱ぎながら
彼女が言った

「うん。大丈夫だよ!
 有香ちゃんこそ大丈夫だった?
 なんかついつい止まらずに
 来てしまったから・・・
 ごめんね。」

「ううん!私も全然大丈夫!

 それよりも、楽しかったね?!
 先輩は?」

「楽しかったに決まってるじゃん?!
 こんなに楽しかった事なんて
 初めてだよ!」

「またまた~。
 大袈裟だな~、先輩。
 でもよかった!
 私もこんなに楽しかったの
 初めてかも!」

なんでそんな嬉しい事言って
くれるんだろう・・・(涙)

「ほんとに?
 ほんとにほんとに?」

「うん! 
 先輩。絶対また誘ってくれる?」

「もちろん!
 さっき約束したじゃん?!
 有香ちゃんも約束してくれたんだよね?」

「うん!絶対!」

もう、まともに彼女の顔が見れない
たぶん鼻の下ビロ~ンってなってるよ

「じゃあ、先輩。
 今日は私が見送ってあげる!
 先輩いつも私が家に入るまで
 見送ってくれてるから!」

「え?
 ・・・いや。だめだよ。
 有香ちゃんが家に入るまでは
 動かないよ俺。」

「え~!どうして?
 今日はいいじゃん!
 ね?
 先輩!」

「だ~め!
 玄関に入るまでは
 遠足です! ってね!」