私に声をかけたのはきっと彼が1番したかった事を叶えたかったからじゃないか、との事でした。

それが何なのかと聞きましたが、看護士さんはくすっと笑い、蒼一さんとの約束だからと、

言って答えてはくれませんでした。とても気になりますが仕方がありません。


「有難うございます。お仕事の方に戻って下さい。私の為に時間を割いてくださらなくても大丈夫ですよ?」

「貴女はどうするの?」

「此処に暫くいさせて下さい。私はこう見えても強いですから。」


看護士さんはその場を去りました。次に現れたのは“使い”の南雲(なぐも)さんでした。


「こんな所にどうして・・・休憩が過ぎても戻って来ないから探したんだよ?」

「南雲さん。今からする事、研究所には黙っていて下さい」

「……?」


私は蒼一さんの胸に手を翳しました。目を閉じて一生懸命に集中をしました。沢山の思いをぶつけるように。

その時でした。何かの音が聞こえました。その音はすぐに消えてしまいました。

目を開いて蒼一さんの顔を覗けば頬が色づいてくるのが分かりました。それを見て安心しました。