「私達の周りの人が傷付きました。傷付けた理由をお聞かせ下さい。

後……出来れば、破壊を願う理由もお願い致します」

「大切な人間を失えば世界を壊す気になるかと思っただけ。

スワンの方も襲ったのはレイブンに従わせる為だよ。願う理由？　うんざりだからだよ。

毎日のように束縛された生活にね。ボクだって“人”でありたいのにさ……」


少しだけ志那は同情した。慈は終始表情を変えていなかった為、どう思っているのか分からなかった。

そして1つ溜息を吐くとエイリの目の前まで行き、彼の頬を2回殴り飛ばした。

ミナは怒りの余り思わず銃を引いた。しかし弾は慈の肩を軽く掠める程度であった。


「とりあえず仇討達成。そっちの我侭で傷付いた奴はそれ以上の痛みだと思うが……」


物騒な言葉を聞いた志那は思わず慈を止めた。これ以上の事が起こると思ったのだろう。

しかし慈にはその言葉は聞こえていない様子であった。


「……でも慈さん、こう言うのは不謹慎かもしれません。ですが言わせていただきます。……感謝します」


慈がその言葉を聞いたからなのか、ふっと笑みを零した。