「今日が貴方の命日になるだなんて聞いていませんよ?

私に貴方の痛みは分かりませんが、病気が苦しい事だって言うのはどのような症状でも同じです。

安楽死を選ぶだなんてあまりにも悲しいです。3日前だってあんなに笑顔で“また3日後に”って、

そう言って別れたのに。嘘吐きです」


当たり前のように返事は返って来ません。言い切った後、看護士さんが傍に来ていました。

すると彼女は私に蒼一さんの事をお話しして下さいました。蒼一さんは小さい時から重病を患っていたそうです。

ご両親は既に亡く、学校へも多い時は週3日少ない時は1ヶ月に1度の通学だったと言う事です。

中学2年からはずっと病院生活だったようで、半年前には余命宣告をされたそうです。

余命は1年だったそうです。1年後に確実に死ぬのならば、早くに死にたいと思ったのでしょう。

蒼一さんは安楽死を望むようになったそうです。許可が下りたのは1ヶ月前。そして今日それは実行されました。

今の医療でもどうにかならなかったのかと聞けば、どんなに手を尽くしても長生きは出来ない身体だった、

と答えられました。安楽死が可能になった日本。そんな日本を少しだけ恨みました。