志那はその内容に言葉を失った。

それを受けた研究所は、すぐさまに今まで彼女達が関わった人間に護衛をつけた。

しかし深く関わった人間が誰なのか分からない為、それは大規模な物となった。


「南雲さんも危ないですよね? 私に関わっていらっしゃりますから……」

「まあ、ね……」

「…………?……!」


志那は突然南雲の腕を握り締めた。すると彼は少し辛そうな顔をした。


「そんなに力は入れていませんよ?」

「人を庇っただけだよ。大した事ないから心配しないで?」

「……ごめんなさい」

「君が謝る事はないよ」


志那は堪えていた。自分の所為でこんな目に遭ったと言う怒りだけでなく、

南雲が負ったその怪我を治す事の出来ない悔しさを。

“使い”には救世や破滅の力は通用しなかったのだ。そして彼女は決心した。


「あの、その指定の場所と言うのは何処なのでしょう?」

「行く気なのかい?」

「もう辛い目に誰も遭わせたくありませんので」