「あ、えと…その……特に意味はないよ。ただ安心しちゃってね」

「……安心したと言う意味があるじゃないですか」


自分のした事に気付き我に返る南雲。

抱き締めるに至った経緯を説明すれば、志那からは軽い突っ込みが飛んで来た。

一瞬の沈黙が流れ、再び南雲は言葉を口にした。


「大事な話がある。よく聞いて欲しい。今、謎の集団が君と破滅の子が狙われている」

「……どう言う意味なのでしょうか?」


南雲によると、志那と破滅の力を持つ人間を、ある目的の為に狙っているとの事。

証拠として、今朝研究所宛てに差出人不明の封書が届いたそうだ。

郵便局の消印もなく、直接郵便受けに入れたと思われるそれの内容は、


“幸せな一時はもう終わり。救世と破滅の者を差し出せばそれはまだ続くだろう。

差し出さなければ彼らに深く関わった人間の幸せを奪う。答えを出せ。

答えを出す時間が遅ければ遅いほど、幸せは消えて行く。拒否しても同じだ。


差し出す気になったのならば、指定する場所に救世と破滅の人間だけで来い”