「じゃ、安心しておくよ。……沢野は人を襲う力もあるしな」

『少し引っかかるけれど、ありがとね』

「あいつが今まで無事だったのは、沢野のお陰だろうし……」

『気をつけてね?』


由とそんな会話をしていると、周が割り込んできた。

そして指定される場所へ向かう事を告げれば、猛反対された。

風邪が治っていない挙句に何されるか分からないから、と。慈はまた溜息をついてこう言った。


「安心しておけ……世界は潰れないし、風邪如きで死なないから」


彼女の頭を数回軽く叩いた。周は未だに納得していないようだが、慈は勝手に先の話へと進んでいた。

そして、翌日。その場所が由と出会った場所だと知った慈は、1人でも行けると言っていたが、

何があるか分からないという研究所側からの言葉により、結局小さな車でそこへ連れて行かれる事となった。


そこで慈は救世の少女、志那と出会った。突然名前を呼ばれた事に戸惑ったが、

気にせずにそのまま廃墟へと向かって行った。