「研究所って……慈?」

「……休んでろ」


何かに気付いた梓佐。しかし慈は何も語ろうとはせず、立ち去った。


研究所についた途端に聞かされたのは、自分達を狙っている人間の存在だった。

そして救世と破滅の人間の差出を要求している事も知った。

しかし、それよりも慈が驚いたのは……


「よく無事だったな……お前」

「殆ど所内の仕事だし、家も直ぐ近くだからねー……あ、でも騒ぎは何度か起こったよ?」


周が何事もなくそこにいる事であった。本人にも襲われた自覚がないという。

あはは、と笑う周をよそに慈は溜息を漏らした。


「面倒だけど、行けば良いんだろ……?」

『行く気なの?』

「……気が乗らないが、あいつの事もあるし。てか、まだいたんだ……?」

『周ちゃんの警護。私はもう死んでいるから、襲われる心配もないしね』


と、まだ傍にいた由が苦笑交じりに答えた。一瞬だけ慈が笑った気がした。そしてこう答えた。