「お前、何してんの……」


そこには傷だらけの滝月梓佐の姿。子供達の泣いている原因の1つはこれか、と心の中で彼は思った。


「気にしないでよ。大した事じゃないから」

「大した事あります……!って、今気付いたけど此処って慈ちゃんの育った場所……だよね?」


慈は頷いた。そして近くにいた職員の人間から事情を聞き始めた。


「どう言う事……?」

「突然何処かの男の子がやって来て、この子達を襲おうとしたの。

それを梓佐君が何度も庇って怪我を……」

「そう」


慈は梓佐の方に再び目を向けた。梓佐は何だか恥ずかしそうな表情を浮かべていた。


「はは、格好悪いよ。まさかナイフが飛んでくるなんて、ね」

「全くだ」

「慈は相変わらずだね……でも僕が偶然此処に来ようと思わなかったら……」

「慈ちゃーん……お話の所悪いんだけど……」


2人が話している所へ周が首を突っ込んだ。

聞けば研究所から大至急来て欲しいと連絡があったとの事。慈は溜息を吐いた。