「慈も祈ってみたら?天国では幸せでいてくれますように、とかさ。

少しは名付け親兼産みの親も安心出来るんじゃない?」

「祈りって呪いだよな」

「?」

「何か都合の良い事ばかり願って、向こうを苦しめそうでさ」


そんな事はないと言う梓佐。だけど俺には祈る事なんてやはり出来ない。

例え顔も知らない両親の為でも。それに神に近しい存在になった今、どの神に祈れと?

哀しそうな顔をする梓佐。聞けば俺が哀しそうな顔をしているからだという。

……今、俺はどんな表情をしているのだろうか?よく分からない。


「……ま、気が向いたらな」


その場凌ぎのその言葉。気が向くのは一体何時になる事なのだろうか?

多分一生来ないかもしれない、と心の中で自分を嘲笑った。






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