周が所内に自室がないからなのか、この研究所は俺と周に1つ部屋を与えてくれた。

受付の仕事の人間にもあるにはあるらしいが、休憩室のような共同部屋らしい。

特に置く物もないから殆ど何もない部屋。あったとしても周の私物が大半を占めている。

白い部屋を見ているとあの日、力を手にした時の事を思い出す。その時もこんな部屋だった。

そんな事を考えていた時に響き渡ったのは、周の泣き声。さっきから何があってそんなに泣くのだろう?


「いづくぢゃーん……」


俺が見ている事に気付いたのか周がこっちを向いた。涙目に、涙声。

放っておいて出ていこうと思ったのだが仕方がない。

泣いている女を1人にするな、と同じ施設だった兄的存在の奴が言っていたから。


「てかさ……自分の仕事は?」

「………………」


首を振っている。休憩中か仕事を終えたって事か。休憩中なら大変だ。

今日は定期検診の日。俺が此処にいるのはほんの数分だと思っていたが、そうでなくなった。