「由さんってやっぱり凄いです……鳥肌が立ちました。もっと、生きて欲しかったです」


ピアノの音と共に紡がれる歌。まるで彼女の今の気持ちを歌っているかのようで。

歌い終えた後の彼女はとても清々しかった。この物語のフィナーレよ、と言っていた。


『慈君、やっぱり成仏は無理みたい。消えるって感覚がないもの。生前の未練は果たせたわ。

だけどもう1つの未練が果たせないの。だからこれは私の勝ちって事で良いかな?』

「分かった、じゃあ望み通り……」

『壊さないで。壊してもどうせ同じ繰り返しだから。見てみようと思うんだ。“世界の終わりを”』


私の我侭で世界が終わったら、私が神様になってしまう。

神様は慈君なのだから慈君自身がそれを決めれば良い。

どんな時に終わらせるのか、それとも終わらせずに君が死ぬのか。知りたくなったわ。


そう言って沢野は笑った。


『この曲には終わりはある。だけど私の人生……って死んでいるからそう言って良いか分からないけど、

まだまだフィナーレじゃないわ。世界の終わりを見てからが本当のフィナーレよ』


それからとんでもない言葉を耳にした。俺も、そして恐らく周もひどく驚いた。


『会いたくなったら会いに行くから。文字通り飛んで、ね』


また厄介な奴が増えた。そう思った。







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