周が更に驚く。世界を滅ぼすか否かは俺次第だと言うのに、どうしてそんなに驚くのか。

沢野はその勝負次第で壊してくれるなら、と賛成してくれた。


「あんたが成仏出来たらあんたの負け。出来なかったらあんたの勝ち。簡単だろ?」

『残念だけど私は成仏なんて一生無理よ?』

「やってみないと分からないだろ?聞かせろ、お前のピアノ。

此処は病院でもないし、観客も2人だけだが怖がらずちゃんと聴いてやれる」

「私、由さんのピアノ聞きたいです!」


たったそれだけで良いのなら、と沢野はピアノを弾きだした。

恐らく彼女自身が作った曲なのだろう。どれも知らない曲ばかりだったから。

周は目を輝かせて喜んでいる。俺はピアノの良さがいまいち分からないが、心地良く感じた。

気のせいかもしれないが、物語になっているような感じがした。