『練習中だから邪魔はされたくない。それだけの事よ』


……!?心を読んだのか?でもそうだとしても、だ。沢山の人間の目の前で弾けるのか?

沢野の表情が少し曇って見えた。霊は未練があると成仏出来ない。

その未練がこの事だとすると、一生無理な話じゃないのか?だったら……


「自分を死なせた事だけじゃなくて、そう言う意味でも恨んでいるのか?」

『……? よく分からないわ。何を言いたいのかしら?』

「あんた、本当に勘が鋭くて凄いよ。俺が破滅の力を持っている事も当てやがった」

「い、慈ちゃん!?」


周がひどく取り乱している。別に幽霊なんだし、口外だなんて出来ないだろうに。

彼女と同じようにやはり沢野も驚いていた。


「怒られるの私なんだけどな……」

「黙っていれば良いだけの話だろ?」

「そうだけどさ……面倒だなあ」


周は少し嫌そうな表情。沢野はとても真剣な表情であった。

俺とじっと見つめ、意を決したかのようにこう言った。


『嘘は吐いていないみたいね。だったら分かったでしょう?世界を壊して。お願い』

「分かった。だが勝負に勝ったらな」