突然俺に話を振ってくるから驚いた。


『慈君ってもしかして超能力者?』

「何で?」

『だって私に手を翳して怖い顔をしていたから』


そういえば力を使おうとしていたんだった。どうして変な所で勘が良いのだろう?

答えにひどく悩んだ。2年前に他界したって言っていたから“力”が提供された事を知っているのだろうか?

否、それを知らなくても“力”の開発の事は報道でも大きな話題となっていた。


「さあな?」

『じゃあ、力を持った子なのかしら?』

「……!?」

『力が与えられた話は風の噂で聞いたわ。それにさっきのは冗談よ。

こんな所にいるはずがないもの。……でも、もし君が破滅の“神様”だったら、私は縋っているわ』


意味が分からなかった。破滅なんて欲しがる人間なんてそういないから。


『ふふっ、不思議そうな顔をしているわね。だったら教えてあげるわ。縋りたい理由』


彼女は教えてくれた。ピアノはあくまで趣味だからプロにはなりたくなかったという事。

聞いてもらいたい気持ちはあるが、お金を取ってまで聞いてもらいたくはないという事。そして……