『目的を言いなさい。荒らしに来たのなら大怪我をするわよ?』

「この女の探索に付き合わされた。それだけ」

「ちょ、慈ちゃん……!?」


嘘を言わなければならない理由なんて何処にもなく、ちゃんと正直に答えた。


『貴方って物凄い正直者よね。嘘を言っている瞳はしていないもの』


そりゃどうも、と一言だけ言う。女はくすりと笑う。おかしいことは何1つ言っていない。


『怯えるかと思えばそれもないし。襲う気失くしたわ』

「私達を襲わないの?」

『何を聞いていたの?襲わないって言ったでしょ?』


周の質問に女は呆れ顔で答えた。一区切りがついた所で、俺は質問をした。


「お前が誰なのか答えてもらおうか?」

『そうだったね。でもそっちからが礼儀じゃない?』


面倒だったが適当に名乗っておいた。すると女は漸く名乗ってくれた。

その名前を聞いた時、周が酷ひどく驚いていた。


「沢野由(さわの・ゆい)って……嘘!?」

『何故そんなに驚くのかしら?』


沢野って奴と同意見だった。そんなにも驚く理由が分からない。

すると周は未だに驚きが隠せないと言った様子でこう言った。