無事を確認し終えると、ピアノの椅子に知らない女が腰掛けていた。こんな奴、いなかった筈だ。


『此処を荒らそうとしているのね?許せない』


その女はそう言うと、またガラスの破片を飛ばしてきた。超能力者なのか?

今度はそれを避けた。そして女に力をぶつけた。

どうせ傷害罪で捕まるだろうし、遅かれ早かれこうなるから。だからどうでも良い。

しかし、だ。その女は痛がる様子を見せる事はなかった。一体何故?こいつも“使い”?


「慈ちゃん……ガラスがまた飛んで来たみたいだけど大丈夫?てか力使わなかった?」

「どうって事ない。力だって今使っても問題はない。この女って周と同じ“使い”なのか?」

「女?何処にいるの?」


気付いていない?と言う事はまさか、ショートヘアのこの女は……


『キミ、見えるの? 誰にも見えないようにしたんだけどな……霊感が強いんだね』

「お前、幽霊なんだな……この廃墟に出るという」

「え!?幽霊?」


周が困惑していた。無理もない。するとその女は何かをしたらしく、周自身にも見えるようになった。

本人はかなり吃驚して俺の後ろの隠れてしまった。変な所で女らしくなるんだな。