「過ぎた時間は戻らない。何があっても。だからそんな事をしても無駄なだけ。

そんな事する暇があるなら今出来る事をすれば?そうだな……兄貴の無事でも願ってろ。

ああ、後もう1つ。出所しても犯人へ仇討をしようとか思うな。俺が大変だから」


揺可は無言。相当な痛みなのだろうか?力の加減が分からないから大小も分からない。


「あんた達と俺は似ていない。あんた達は犯罪者で、俺は半分人間。

じゃ、俺はもう行くから。遅くなるとあの女が五月蝿くてね」


その場を後にした。そう、あいつら犯罪者と俺はちっとも似ていない。

あいつは言った。俺は痛みを与えても許されるのだと。そんな事はない。

俺だってきっと許されない存在。ただ痛みを与えるだけに産まれたようなある種の殺人鬼。

やろうと思えばで地球を滅ぼす事だって出来る。

犯罪者は罪をちゃんと洗い流せるけど、俺はそうもいかないし。


俺は罪を洗い流す場所も与えられず、痛みを与えるだけの“虚ろな存在”かもしれない。







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