「私、どんな罪で此処にいるか知ってる?」

「さあな」

「ふうん、じゃあ教えてあげる。時間罪だよ」


改訂罪、時代旅行が可能になったと同時に施行された時間法。それの違反。

過去に戻って歴史を変えたって事か。にしても、どうしてそんな事をしたんだ?


「あ、その顔はどうしてそんな事をしたかって顔だね?」

「別に興味はない」

「……私の兄を助ける為」


よく分からなかった。かける言葉を見付ける事が出来なかった。


「お兄ちゃんね、今生死を彷徨っているんだ。変な輩にからまれてね」

「兄貴がやられる前に犯人をやっつけようとした訳か」


揺可は頷いた。そして成功したけど結局見付かってしまい、今に至る事を告げた。

時間旅行が出来ると言う事もあってか、犯人を捕まえるのは比較的容易になった。

その兄貴を死なせかけた奴も既に捕まっている筈。なら、後は法律に任せれば良いのに。


「こうなる事位、想像は出来た筈だ」

「それでも……っ、私はお兄ちゃんの苦しむ姿なんてもう見たくなかった!」


1つ溜息を吐き、手を翳して痛みを与えた。時間法違反の場合はどんな痛みが襲うのだろう。

別に再犯者でもないから心の痛みだと言う事はある訳がないし。