そのまま病室のお兄さんの元へと行った市瀬さん。その表情はとても嬉しそうでした。


「志那、まだそんな所にいたの?」


丁度その時南雲さんが現れました。気付けば、幾らか時間が流れていました。

心配して来てくれたのでしょう。本当に申し訳ない事をしてしまいました。


ラストダンスが終わる頃、私はきっと笑ってる
満ちた気持ちで見送ろう もう迷いはない
この暖かさがなくなるのは怖い。けど
貴方と踊ったこの時を 忘れない
君の幸せは私の幸せ


何処かから歌のような物が聞こえたような気がしたのは気のせいでしょうか?

ラストダンス……ですか。まだ私には遠い先の話でしょう。

もし私と踊って下さる方がいるのならば、どのような方なのでしょう?


……何故でしょう。ふっとあの方の顔が浮んでしまいました。

もしかして私の踊りたい相手とは…いえ、気のせいでしょう。

あの方にはもっと素敵な方がいらっしゃいますから。






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