「貴方は、お姉さんを傷付けるかもしれません。もしかしたら既に傷付けている可能性もあります。

脅迫めいた手紙がなによりの証拠です。私に消えて欲しいのに、そんな願いなんて……」

「確かに一瞬恨んだ時もあったさ。姉にはどうして力を使ってくれないのか、ってな。

だけど手紙って何だ? さっきもそうだったが……本当に出した覚えなんてない」


お姉さんを助けたい事と手紙の差出人がこの人ではないのは確かでした。

……一瞬疑ってしまいましたが。目を見れば何となく分かります。


「だから頼む……姉を……」

「お姉さんは自分の力を信じています。半年が何ですか……っ!

それはお医者さんが判断した事であって、まだ治る可能性がない訳ではないのでしょう?

そんなにお姉さんの治癒力を信じる事が出来ないのですか。私がや……」

「ああ。姉は多分その力を望んではいないかもしれない。手術も考えたが、

喉とは言え、体に傷は残す事は出来ないし危険だ。でもな……そこまでしないと駄目なんだ。

どんなに希望を持っていたって、駄目な物は駄目らしいんだ。数人の医者から言われたから」