すると朔斗さんは信じられない言葉を発した。今は自分が代役をやっていると。

元々姿を見せる事がなかった事が幸いしてとの事。それでも納得が行きません。

朔斗さんは男の方。Rinsaさんは女性。あのような高い声を出す事なんて不可能に近い筈です。


「……ああ、声か。これだよ」


そう言って取り出されたのは小さな機械。それを口に近付け、声を発した瞬間。


「あ、女の方の声……変声機ですか?」

「正解。姉の担当の人間が言うには、俺と姉の声質が似ているらしい。歌声も。

だから姉が復帰するまでの間は俺がやっているって訳」


お姉さん想いと言うべきなのでしょうか?失礼ながらも意外に優しい方だと感じました。
ですが……それとこれとは話が別です。


「朔斗さん……またお姉さんに大好きな歌を歌わせたい。そのお気持ちは分かります」

「って事は助けてく……」

「ですが、駄目です。完全には治したくありません」

「何で……っ」


険しい表情をする朔斗さん。だから私は私なりに考えた答えを伝えました。