「大丈夫だよ。ちゃんと誓約書にはサインをしてもらったから」

「誓約書、ですか?」

「救世もしくは破滅の力を持った人間の情報は一切漏らしてはいけない、ってね。

漏らしてしまった場合は相当な額の罰則金か重犯罪で無期限の服役だよ」


それに付け加えて、上部の方は“本当は死刑でも良いくらいだ”と言いました。

しかしそれは無理です。死刑はまだあるとはいえ、既に廃止に近い状態になっていましたので。

疑問は解消されましたが、そこまでしなくても……と思います。

たった2人の人間の事を話しただけで、大袈裟過ぎます。


「僕を話に置いて行かないで下さいますか?栗井(くりい)さん」

「ああ、悪かったね。それでは彼女に例の件を」

「お願いがある。姉を助けてくれ」


驚きました。個人からの依頼はあまり受けていないのに、彼は訴えてきたからです。

大抵は病院や福祉施設等の団体からの依頼ばかり。

理由は簡単です。個人ではキリがないからだそうです。私は引き受けたい気持ちで一杯です。

手術や自然治癒力ですらも完治出来ない人達を助けてあげたいのです。

しかしそうも行きません。私個人の意思ではなく、殆ど研究所で引き受けている為です。