少し驚きつつも返事をしました。

ですが、来る日を守らずにサボるという事は到底私には出来ませんでした。

何と言うか、後ろめたい気持ちになってしまうからです。





手紙に書かれた日になりました。研究所までの道程を、何時ものように歩いていましたら……

あの時に見た男の子とすれ違いました。思わず、声をかけてしまいました。


「お前誰? ……にしても珍しいな。ピンクの瞳だなんて。どうせコンタクトだろうけどさ」

「貴方、研究所の前でもめていた方ですよね?私、あそこで働いている人間なんです」

「へー……で、研究員さん。何か用?」

「研究員ではありません。宮園志那……志那と呼んで下さい。それが私の名前です」


言われて気付きました。うっかりとコンタクトをするのを忘れた事に。

少し慌ててしまいましたが、カラーコンタクトだと思って下さったようで安心しました。

研究員ではなく、私は救世の力を持ってしまったある意味では“実験体”。

別にそのままでも良かったと言えば良かったのですが、少しそう呼ばれるのは嫌でした。

すると彼も名前を名乗って下さいました。“鈴谷 朔斗(すずたに さくと)だ”、と。

相手にさせておいて自分がしないのはすっきりしないそうです。