これの何処がおかしいのでしょう?南雲さんに目で訴えてみました。

すると南雲さんはそれぞれの行の1文字目を読んでみてごらん、と言いました。


「お、ま、え、は、き、え、て、し、ま、え……お前は消えてしまえ?」

「僕も偶然気付いたんだ。驚いたよ。苦情の手紙を上は見分けられなかったなんてね」

「……たまたまそうなったのではないのでしょうか?私、恨みを買うような事は1度も……」

「有り得ないと思う。改行だって不自然だから。それと、1つ教えておくよ。

君が恨みを買うような事をしていなくても、恨む人間は大勢いる。

自分の身内を何故助けてくれなかった、とかね」


ショックでした。誰からも好かれる人間は存在しません。

必ず誰かは自分を嫌っています。ですが、それを改めて知るととても辛いです。

もしかしたら此処にいる南雲さんだって私を恨んでいるのかもしれません。


「大丈夫。安心して。何があっても僕は君を裏切らないから。……にしても、厄介だな」

「?」

「君が危ない。追伸文の言葉を本当に実行するならね。

警備を強化してもらいたいけど、上の人間は相手にしないだろうしな……

しかもこの日、研究所に来る日だったよね?来なくて良いよ。僕が何とかするから」

「……はい」