1月も7日を過ぎるとおみくじ工場はいっきに仕事が減り、がらんとした空気が漂う。

朝礼の後、担当の凶ラインに向かう俺を工場長が呼び止め「じつは言いにくいんだが」と切り出した。

「君の担当する凶のラインだけどね、あれ、人をはずしてロボットを入れようかと思うんだよ」


「なぜですか工場長、我々の仕事に手落ちでも?」


「そうじゃないんだがね。だってほら、凶おみくじだろう?あまり人の想いがこもっていない方がいいんじゃないかって、取引先の神社さんからクレームがあってね。君たちが丹精込めて書いてくれているのは重々承知しているよ。それだけに凶おみくじは良くないらしいんだ」