大丈夫だと思ったのに……

走っていると

パシッ
と腕を掴まれた。
振り向くと

はぁはぁ
と息があがっている山下君がいた。

あたしの息も上がってる。
けど、それ以上に胸が痛い。

「山下君……ごめんね。
急に走ったりして」
笑おうとすると

「無理して笑わなくていい」

「えっ」
全部をしゃべりきる前に
腕を引っ張られ、山下君に抱きしめられた。
フワッと山下君からミルクティーの甘い香りがする。


「あの……山下君」


「無理しなくていいんだよ。
泣きたいなら泣いていいんだ」
片手であたしの頭を撫でてくれる。